うつ病で労災認定は３０％！？申請方法（手順）や注意すべきポイントはこちら

うつ病って誰でもなる可能性がある病気ですよね。有名人だと名倉潤さんやビヨンセとかが、過去にうつ病になっていますね。※Wiki調べ

普段仕事をしていても、パワハラ、セクハラ、マタハラこの辺りは誰でも身近に起こる可能性がありますね。もし仕事が原因でうつ病を患った場合には、労災にとして認められる可能性も。

うつ病の場合には、労災以外にも傷病手当も対象となります。
もしこれから休職したい考えている人は、休職で使える制度をこちらの記事で紹介しているので参考にしてみてくださいね。

stepbystep.tokyo

2020.10.26

うつ病で会社を休む時に使える３つの制度！休んでも給料はでるの？

https://stepbystep.tokyo/うつ病で会社を休む時に使える３つの制度！休ん

こんにちは、ハルキです。うつ病と診断されるとお医者さんからは体を休めることを勧められる場合がほとんどです。薬を飲むことも大切ですが、体を休めることもめちゃくちゃ大切。けど社会人だとお金の心配もあるから中々休みに踏み切れませんよね。今回は、うつ病で休む時に使える３つの休暇制度と給料は支払われるかについて解説していきますね。会社をうつ病で休んでも給料は支払われるの？うつ病で休職（長期間休む）した時には給料をもらえるかというと、結論としては会社によって異なるというのが回答になりますね。もし休職する...

じゃあ早速今回の本題に移りましょう。

今回は労災対象になる事例と労災を申請する場合の手順について紹介していきますね。

精神疾患（うつ病）は労災（労働災害補償保険）に認定されるのか？

うつは労災の対象となっています。

ただ精神疾患を申請して労災として認められる件数は３０％前後。
めちゃくちゃ低いですよね。3人申請して１人位しか労災として認められないんです。

この下の表を見てみて下さい。
これは厚生労働省が出している状況報告書で精神障害により労災の認定件数がでてます。

全部の疾患申請の労災認定率が大体50％位のところ、精神疾患は30％しかないので低いことが分かりますね。

何で精神疾患はこんなに認定率が低いのかというと、精神疾患という病気の原因特定の難しさが要因になってます。

鬱病が労災認定されるために必要な基準

厚生労働省が出している「精神障害の労災認定要件」が下の３つ。

• 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
• 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね６か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
• 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

これが労災として認められるための大まかな基準です。

各基準を簡単に解説していきますね。

認定基準の対象となる精神障害を発病していること

認定の基準としてはICD－10と呼ばれるWHOを作成した疾患分類が採用されています。
仕事中だとF3、F4が該当するケースが多く、うつ病だとF４になり労災対象になりますね。

もし他の精神疾患で労災の対象になるか気になる場合には、ここに（労災保険相談ダイヤル：０５７０－００６０３１（平日9:00～17:00））問い合わせてください。

認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね６か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

ここの項目は要チェックポイント。

うつ病が労災と認められるためには、発病前の６か月間の間に起きたことについて、これから紹介する①または②の基準のどちらかを満たす必要があります。

①特別な出来事があった場合

「心理的負荷が極度のもの 」または「極度の長時間労働」の２つどっちかが該当した場合。

これが”心理的負荷が極度なもの”の概要です。
結構重いケースですね。その他の項目も他の項目と同レベルと判断されます。よっぽどじゃないと該当しそうにないですね。

つぎに長時間労働の項目をみてみましょう。

どうです？これもめちゃくちゃ残業しないと該当しないですね。
週休5日制で定時が18時の会社の場合には、24時までの残業を22日間で132時間。

160時間となると、さらに休日出勤を４日程度行う必要が出ちゃいます。
真っ黒なブラック企業でも、中々大変な時間ですよね。

では次の条件を見てみましょう。

②「特別な出来事」に該当する出来事がない場合

上で紹介したパターン以外でも労災と認められる場合はもちろんあります。

基本的には、『１「具体的出来事」への当てはめ→２出来事ごとの心理的負荷の総合評価→３出来事が複数ある場合の全体評価』の順番で評価してい、強中弱の３段階で評価していきます。

審査するのは労働基準監督署なので、詳しい条件を覚える必要はありません。

何となく条件を認識しておけばいいので、気になる人は精神障害の労災認定のP5を読んでみて下さいね。この項目で『強』項目に当てはまれば労災認定される可能性あり。

参考までにパワハラの事例を紹介。

例として記載されている強のパターンは、「上司から執拗に人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要ない精神的攻撃を受けた場合。」この”執拗に”ってとこがポイントですね。

パワハラを何度も受けている場合には対象となる場合があります。
ただ業務上必要ない場合なので、ここもちょっと判別が難しいですよね。

業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

労災として認定されるには、仕事以外で心理的負荷が発生していないかというのも要件の１つになっています。

具体的に言うと、「離婚または夫婦で別居した」や「自分が重いけがや病気をした」などのように仕事以外の要因でうつ疾患の原因になっていないかも調査されます。

合計で32項目でこんな感じの表でチェックされます。

気になる人は、精神障害の労災認定のP10を確認してみて下さいね。
もし仕事以外も原因の1つと判断された場合には、労災の対象から外れちゃうので注意が必要。

精神疾患（うつ病）等で労災を申請する手順や流れは？

では、うつ病で労災を申請する時の流れを紹介していきますね。
おおざっぱにはこんな感じです。

1. 病院（クリニック）で治療を行う
2. 労働基準監督署へ労災の申請をする
3. 労働基準監督署による労災の調査が行われる
4. 労災認定

めちゃくちゃ大変なわけではないけど、簡単でもないですね。
もし申請関係で迷ったら厚生労働省は労災の相談ダイヤルを設置しています。基本的な質問はここで聞けるので、労災申請する前に聞いてみてもいいですね！

ではこっからは、各項目を深堀していきます。

病院（クリニック）で治療を行う

これは労災を「申請する、しない」に関わらず大切な項目。
もし体に不調があるのであれば、精神科または心療内科を受診してみて下さいね。

精神科と心療内科の違いが分からな人は下の記事を参考にしてみてください。

stepbystep.tokyo

2020.10.15

精神科、心療内科どっちを受診？症状別の受診先を紹介！！

https://stepbystep.tokyo/精神科、心療内科どっちを受診？症状別の受診先

こんにちは、ハルキです。心の病気をお医者さんに診てもらうときに、似たような診療科として精神科と心療内科があると思います。あれ、自分の今の症状って精神科に行った方がいいのかな？それとも心療内科に行った方がいいのかな？って悩んでる人も結構多いんです。今回は精神科に行くべき症状と心療内科に行くべき症状を分かりやすく解説していきますね！ この症状は精神科？心療内科？ さっそく症状別に受診した方が良い診療科を紹介していきますね。その前に結論だけ知りたい人のために簡単にまとめると「心だけの症状は...

簡単に違いを書くと「心の病気＝精神科」「心が原因で体に不調が出ている場合＝心療内科」を受診してみて下さいね。

そこでお医者さんに診断してもらい、病名がつくようであれば労災の可能性が出てきます。

何にも治療していないのに労災申請しても信ぴょう性がないので労災として認定される確率が下がっちゃいます。どうせ後で労災の申請で医師の診断書は必要なので、労災申請する前に病院は受診しておいた方が無難ですよ。

労働基準監督署へ労災の申請をする

次に労働基準監督署へ労災の申請をします。

その前に出来れば会社にも相談しておいた方が無難。
うつ病を治療した後で復職する可能性が無いのであれば、会社は無視していいと思います。ただ少しでも復職する可能性があるのであれば、ひと声かけてからの方が会社も動いてくれる可能性がありますね。（申請の手続きをしてくれる場合も）

もちろん会社を無視して労災の申請は可能です。
”会社の規模が小さいから相談できる人がいない”や”こんなブラック企業は知らん”って場合には直接申請してもOK。労働基準監督署へ行き、労災に必要な書類をもらいます。

一応、ネットでも厚生労働省HPからダウンロードできますが、初めてだと書き方に戸惑うと思うので労働基準監督署の窓口に行き、担当の人に必要な書類や書き方を聞きながらすすめた方が安心ですよ。

その書類には会社が記名押印する項目がありますが、会社が拒否した場合には無くてもOK。
もしこの段階で、うつ病の原因が仕事に関係するという証拠があれば一緒にだしてOKです。例えば、タイムカードや音声の録音などの証拠資料ですね。

もし最寄りの労働基準監督署が分からない人は、こちらで検索できるので探してみてくださいね。

労働基準監督署による労災の調査が行われる

労働基準監督署に対し必要書類を提出して、労災申請をすると、労働基準監督署から本人や家族、会社、主治医などへ聴き取り調査が行われます。

なかには聞き取りも行われずに労災認定されるケースもあるようなので、ここは労働基準監督署が判断して決めるみたいなのでなんとも言えませんね。

聞き取り内容は先ほど紹介した、3つの基準をもとに聞き取りが行われるケースが多いようです。
「労災対象の病気か？」「どの程度の状況だったか？」「本当に仕事だけが原因か？」などです。

この時に仕事が原因でうつ病を疾患した証拠が出てきた場合は追加提出もOK。
その追加資料で労災が決定されるケースもあるので、常に心当たりがあれば探しておいてください。

調査期間は、案件によってバラバラみたいです。
申請者や会社が速やかに資料提出していれば半年掛らないくらい。なかには１年程度かかる場合もあるようです。

労災認定

労働基準監督署の調査が終わると、労災支給(不支給)決定の通知書が送られてきます。
もしこれで支給対象であれば手続き完了ですね。

ただ現状は、精神疾患で労災を申請した人の６割程度は不支給。

もしこの決定が不満であれば、労災保険審査請求制度があります。
これは通知から3ヶ月以内に再請求することにより、もう一度労災の内容を確認してもらえる制度です。

ただ再請求かけたところで、数％しか決定は変わらないようです。
新たな証拠が出た場合などは、変わる場合もあるようですが、ほとんど変わらないようですね。

労災と認めてもらうためには、事前の証拠集めがめちゃくちゃ重要なことが分かりますね。

【実例】上司からのパワハラは労災認定されるの？

こっからは実際に合った上司からのパワハラが労災認定された事例を紹介。

上司によるパワハラが労災認定された事例

Ａさんは、総合衣料販売店に営業職として勤務していたところ、異動して係長に昇格し、主に
新規顧客の開拓などに従事することとなった。新部署の上司はＡさんに対して連日のように叱責
を繰り返し、その際には、「辞めてしまえ」「死ね」といった発言や書類を投げつけるなどの行
為を伴うことも度々あった。
係長に昇格してから３か月後、抑うつ気分、睡眠障害などの症状が生じ、精神科を受診したと
ころ「うつ病」と診断された。

労働基準監督署の判断

①上司のＡさんに対する言動には、人格や人間性を否定するようなものが含まれており、それ
が執拗に行われている状況も認められた。
② 業務以外の心理的負荷、個体側要因はいずれも顕著なものはなかった。
①と②により、Ａさんは労災認定された。

このようにパワハラも労災として認められます。
もしパワハラで悩んでいる人は、労災も視野に入れて準備しておいてくださいね。

終わりに

精神疾患はとても難しい病気なので、なかなか労災認定されません。

ただ下の表を見てわかる通り、精神疾患で労災申請する件数というのは右肩上がりで増えてます。

昔は、うつ病なんて甘えだ！って言う社会の考え方もありましたが今は違います。
精神疾患はれっきとした病気です。

無理に自分だけで抱え込まないで、相談できる人には相談してみて下さい。
もし相談できる人がいない場合には、さっき紹介した労災保険相談ダイヤルに相談してみて下さいね。

・労災保険相談ダイヤル：０５７０－００６０３１（平日9:00～17:00）

少しでも多くの悩んでいる人のお役に立てると嬉しいです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。